何かと受難のトルコにまた難題が発生である。

 トルコでは隣国シリアでのクルド勢力の台頭に刺激されて国内のクルド勢力が政治的に活性化し、それがトルコのエルドアン政権を対PKK軍事対決路線へと舵を切らせるという形でクルド紛争が激化した。これがさらにトルコ民族主義の極右勢力を刺激し、クルド排斥の暴力行為を暴発させ、新たな不安定要因を表面化させている。人種主義的・極右的なトルコ民族主義は、議会で15%程度の議席を確保すると共に、その支持層の一部は国際的な活動も活性化させており、イスラーム主義とは別の超国家的な過激派勢力としていつか大事件を引き起こす可能性もあって、注視が必要である。それはエルドアン政権の統治を揺るがす意外な盲点となるかもしれない。

内憂外患のトルコに新たな火種が

 トルコは現在、政府軍・警察とクルド武装組織PKKとの紛争が再燃し激化すると共に、隣国シリアでの内戦の長期化と「イスラーム国」の台頭にどう対処するか、同盟国米国との協力をいかに行うかに頭を悩ませながら、6月の選挙の結果に基づく連立政権が成立せず、11月1日の議会再選挙に向けて各党が選挙戦を繰り広げる、複雑な状況になっている。

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