株暴落の幇助犯は“地雷”付きファンド

執筆者:鷲尾香一2008年3月号

 日経平均株価はこの半年間で五千円も下落した。一月二十二日には一万三千円を割り込んだが、強く反発することもなく、この原稿を書いている時点までは一万三千円前後でふらついている。昨年七月九日に一万八千二百六十一円の高値をつけたのが嘘のような急落ぶりだ。 株価暴落の“主犯”は、アメリカが震源地となったサブプライムローン問題だ。証券化されたローン商品を購入していた欧米の金融機関は、被った巨額損失の穴埋めのため、保有する日本株を売却して資金を調達した。詳細は90ページからの記事に譲るが、福田政権の改革後退と経済無策が外国人投資家の嫌気を誘ったことも影響した。 実は、日本の株安にはそれらの他にも“隠れた幇助犯”が二つ存在する。時期を分けて考えてみよう。 九月末までの“犯人”は郵政公社だ。本誌昨年十二月号で指摘したように、郵政民営化法の定めにより、昨年十月一日から、民営化以前に預かった貯金を株式で運用することを禁じられたため、九月末までに国内外の保有株式を一兆三千億円も売り払った。 もう一つは、十二月二十六日の高値から一月二十二日の安値まで、たった十五営業日で三千円以上も下げたとき。このときの“犯人”は、主に国内外の証券会社が発行・運用する「償還条件付ファンド」のノックイン価格だ。

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