日本を今一度せんたくいたし申候 幕末の志士・坂本竜馬が、姉にしたためた手紙の一節だ。竜馬ファンなら、だれもが心に留めている言葉だろう。 その威光にあやかろうという集団が一月下旬に誕生した。「地域・生活者起点で日本を洗濯(選択)する国民連合」が正式名称で、略称を「せんたく」という。北川正恭前三重県知事が発起人代表になり、東国原英夫宮崎県知事ら首長と有識者で構成、近く発足する国会議員連合と連動し、「日本のせんたく」を目指すのだという。 現職知事の参加者は十三人まで膨れあがり、市長は百人に迫る。議連は、自民党の河村建夫元文部科学相と民主党の野田佳彦元国会対策委員長が代表に就任する見通しで、約六十人の参加が見込まれている。 だが、この集団は、不明の部分があまりに多い。既成政党に頼らずに地方主権、生活者起点の政治を実現しようという意気込みは分かるが、生き馬の目を抜く政界で、どう存在感を示すのか、見えない。だから「政界再編の核になる」という評論家がいるかと思えば、「きれいごとを並べているだけ」「旬を過ぎた政治家が東国原人気を利用しようとしている」という酷評も聞こえてくる。 実際は、どうなのか。「せんたく」内部の事情に詳しい全国紙記者は「政策面よりも、政局面、具体的には大連立路線の対抗軸として注目を集めるようになる」と断言する。

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