外務省が来年5月末の伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)終了後に、人事の大幅若返りを断行、安倍晋三首相お気に入りの秋葉剛男・総合外交政策局長(=写真、昭和57年入省、以下同じ)が外務審議官を飛び越えて外務次官に就任する模様だ。
 3年目に入った齋木昭隆次官(51年)は、駐米大使転出が有力だが、谷内正太郎・国家安全保障局長の後任に抜擢される可能性もある。

官邸主導の「体質変化」

「秋葉体制」は首相官邸の方針だが、外務次官が一気に6年次も若返るのは霞が関でも前例がない。安倍首相が官邸外交を一段と強化し、外務省をコントロールする体制が強まることになる。省内の衝撃は大きく、日本外交の体質変化につながる可能性もある。
 次官就任を悲願とし、猟官運動をしていた杉山晋輔・外務審議官(52年)は外され、大使に転出する見通し。
 秋葉氏は早くから将来を嘱望され、中国課長、条約課長、駐米公使、国際法局長をこなしてきたエース。安倍首相の評価も高く、次官起用は首相と菅義偉官房長官の意向という。
 秋の外務省人事でも、齋木尚子・国際法局長、能化正樹・領事局長(いずれも57年)や、金杉憲治・経済局長、森健良・北米局長、山﨑和之・官房長(いずれも58年)ら、秋葉氏の同期・若手が局長の中核を占め、「秋葉体制」の準備が行われている。
 秋葉氏は「寝技や変化球外交ができる外務省では異色の存在」(外務省筋)とされる。昨年秋の第2次安倍政権で初の日中首脳会談開催では、谷内氏とともに国際法局長として北京で事前準備に当たり、「4項目合意」を実現し、日中関係改善に布石を敷いた。

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