赤丸が今回の襲撃と関連した場所、青丸が警察署、緑丸はユダヤ博物館。上部灰色枠の表題左端にある→をクリックすると施設名枠が表示され、施設名横の色丸をクリックすると地図上の丸とリンクします。上部右端の窓枠マークをクリックすると、別ウィンドウで地図が拡大されます。

 

 テロなき世界に近づくには、どうすればいいか。パリ同時多発テロの被害者に思いをはせつつ、テロと対決する意志を新たにする営みは、もちろん重要だ。同時に、加害者側の実像や環境を探り、その精神構造を分析する作業も欠かせないだろう。

 今回のテロ容疑者の多くは、遠い中東の砂漠に生まれ育った人々でなく、地元フランスやベルギー出身の若者たちである。過激派組織「イスラム国」の支援があったかもしれないが、基本的に彼らは、欧州文明社会でテロリストに成長し、テロを準備したと考えられる。つまり、文明社会に暮らす私たちとテロリストとは、多くの要素を共有しているのである。

 テロリストたちの多くが幼少時を過ごし、あるいはその後出入りしていた地域が、ベルギーの首都ブリュッセル西郊の街モレンベークである。そこに漂う空気を吸うことで、過激派やテロリストを生み出す要因を感じ取ることができないか。テロから5日を経た11月18日、ブリュッセルを偶然訪れる機会があり、合間を見て訪ねてみた。

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