みなさま、明けましておめでとうございます。年明け早々、北朝鮮が「水爆実験」と称する核実験を行い、現在、国連安全保障理事会で北朝鮮に対する追加制裁が議論されています。既に安保理は北朝鮮の核実験を非難する議長声明を出しており、制裁の強化についても総論では常任理事国を含め賛意があるようですが、各論では様々な利害もあるので調整が必要な状況です。
 今回は連載の途中ですが、北朝鮮への追加制裁がどのようなものになるのかを推測しつつ、安保理での駆け引きについてわかる範囲で分析してみたいと思います。

イラン制裁と類似した金融制裁

 New York Timesは“U.S. Prods China on North Korea, Saying Soft Approach Has Failed” という記事の中で、米国政府関係者が、北朝鮮の船舶の入港を禁止することを含む、貿易と金融に対する制裁を検討しており、金融制裁に関してはイランに対して行った制裁に類似した、北朝鮮の銀行関係の断絶となる、と報じた。
 しかし、国連によるイラン制裁では、核兵器やミサイル開発に必要な資金調達については禁じていたが、それ以外の金融取引の大部分を断絶させるような措置はとられていなかった。つまり、この米国政府関係者が想定しているのは、イランに対して国連が行っていた制裁ではなく、アメリカやEUが国連の枠外で行っていた金融制裁に近い内容のものだと思われる。
 具体的にはSWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication:国際銀行間通信協会)から北朝鮮金融機関を切り離すことで、イランの銀行から海外に送金したり、送金を受けたりすることができないようにするEUが行っていた制裁と、アメリカとEUがイラン中央銀行を含むイランの主要な銀行を制裁対象とし、その資産を凍結させた制裁、ということが考えられる。資産凍結によって、外国にあるイランの資産が一切動かせなくなり、イランが原油を輸出しても、その代金が外国(例えば日本)にとどまって積み上がっていく、という状況を作っていた。

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