変化を選んだ台湾「3度目の政権交代」へ

執筆者:野嶋剛2016年1月16日

 4年に1度行われる台湾の総統選挙・立法委員選挙の投開票が16日行われ、野党・民進党候補の蔡英文氏が、圧倒的大差で勝利することが確実になった。台湾現地時間の午後7時(日本時間午後8時)時点で、午後4時に始まった開票作業はほぼ終了し、蔡英文氏の得票は650万票前後に達し、与党・国民党候補の朱立倫氏の得票は320万票ほどにとどまっている。蔡氏の大差による初の総統当選は間違いなくなり、朱氏は敗北宣言し、党主席の辞任を表明した。

 およそ1年におよぶ選挙戦のなかで、終止、他の候補を支持率で大きく上回ってきた蔡氏が、安定した選挙戦を展開し、リードをきっちり守りきり、民進党にとって8年ぶりの政権復帰を成し遂げることになった。

 

敬服すべき「民主の力」

 この夜、台湾は再び変わった。台湾の人々は変化を恐れない。むしろ変化を選ぶ。うまくいかなかったら、取り替える。将来は不確かかも知れないが、変わらないより、変わったほうがいい。そんな民主主義として当たり前のことが、台湾ではしっかり機能していることを実感させられた。

 1996年に直接選挙を初めて総統選に導入した台湾では、2000年の国民党から民進党への政権交代、2008年の民進党から国民党への政権交代に続き、3度目の政権交代となる。台湾における国民党と民進党による2大主要政党を中心とする民主制度は完全に定着したとも言えるだろう。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。