世界の市場を襲った中国発「異常寒波」の正体

執筆者:青柳尚志2016年1月28日

〈2016年を迎えるいま、内外でブラックスワンの不気味な羽ばたきが聞こえる。2012年末の政権復帰から丸3年を経過した安倍晋三首相は「桃栗3年」の成果を誇った。が、今は申年の世界に待ち受けているリスクにこそ、身構えるときではないのか。〉

 前回はこんな書き出しだった。実際のマーケットで今起きているのは、この記述を地で行く天下大乱の光景だ。爆弾はまさに中東と中国で炸裂し、全世界へと広がった。サウジアラビアによる政治犯の大量処刑、サウジとイランの外交関係断絶、水爆と称する北朝鮮の核実験、中国株の全面取引停止、人民元の下落、世界的な株式相場と原油など商品相場の底抜け。

 今さらのようにメディアの喧騒を繰り返すのはやめよう。ハッキリ言えるのは、「2016年は参院選の年だから、選挙前までは株価は強いはず」などといった、したり顔の解説がちゃぶ台返しに遭っている事実である。経営者への新年株価アンケートをみても、2016年の日経平均株価の安値予想は1万8000円がほとんどで、最も弱気の回答でも1万7000円。

 年初来の株安で株価は1月第3週には1万6000円スレスレまで下落し、安値予想の下限を大きく割り込んだ。株式相場が直近の高値から2割以上下落することを「ベア・マーケット(弱気相場)」入りする、と言う。昨年12月初めの日経平均は2万円ちょっとを付けていたから、1万6000円を割り込めば、完全な「弱気相場」入りとなる。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。