米大統領選「アイオワ州党員集会」勝敗の意味

執筆者:足立正彦2016年2月3日

 2016年米国大統領選挙の幕開けとなるアイオワ州党員集会が2月1日に行われたが、共和党、民主党ともに熾烈な争いとなった。共和党では、2015年6月に出馬表明を行った翌月から同党の大統領候補指名獲得争いで事実上の「フロントランナー」の立場を維持してきた実業家兼テレビパーソナリティのドナルド・トランプ氏が重要な初戦で勝利を収めることができず、保守派のテッド・クルーズ上院議員(テキサス州選出)に土をつけられた。他方、民主党では、集計率99%時点でヒラリー・クリントン前国務長官が49.9%、バーニ―・サンダース上院議員(無所属、バーモント州選出)が49.6%とほぼ互角の戦いを展開。最後の最後でアイオワ州民主党本部がクリントン氏の勝利を発表するとともに、クリントン氏自身も自らの勝利を誇示する勝利宣言を行った。

 

「敗北」しなかったクリントン氏

 民主党の指名獲得争いについては、地元有力紙『デモイン・レジスター』が党員集会直前に最新世論調査結果を公表し、「クリントン支持」45%、「サンダース支持」42%とほぼ互角の展開で党員集会になだれ込むかたちになった。8年前の2008年1月に行われた同党員集会で、クリントン氏はバラク・オバマ上院議員(イリノイ州選出、当時)に敗北しただけではなく、ジョン・エドワーズ元上院議員(ノースカロライナ州選出、当時)にも敗北し、3位に沈んだ苦い過去がある。当時、クリントン氏は「無敵」と見られていたが、同党員集会での躓きを契機として選対本部内での不協和音が表面化し、「変革(change)」を訴えるオバマ氏を支持する党内の勢いを止めることができず、最終的にオバマ氏に民主党大統領指名獲得を奪われる辛酸をなめることになった。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。