新聞記者は紙面に自分の書いた記事が載ってなんぼの仕事である。書けども書けども、載らない時はどうやっても載らない。しかし、書いたぶんだけ面白いように載るときもある。それは、世の中が記事を必要としているときだし、逆に言えば、社会が記事を必要としないときは、いくら頑張って書いても載らない。

 新聞は紙面を、テレビは枠を、それぞれ内部で記者やプロデューサーが奪い合ってつくる。このフォーサイトの記事のように字数制限の緩やかなウェブのコラムとは、そのあたりがいちばん違うように思う。

 

民主化以後増えた台湾報道

 台湾報道は、日本のメディアで決して掲載率のいい方ではなかった。まず第1に、台湾の記事を読みたいという日本社会のニーズがそれほど大きくなかった。同時に、日本のメディアが報じる台湾報道の内容も、あまり世間の興味を引くものではなかった。1970年代から日本の大手メディアは産経新聞を除いて台湾に常駐の記者を置いておらず、報道は現地の新聞や電話取材に頼っていた。さらに蒋介石・蒋経国の時代は、国民党の1党専制の下、日本人が読みたくなる台湾のニュースもそれほど多くはなかった。

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