「実証事業(居久根に関わる除染実験)をしたい」と環境省福島環境再生事務所から比曽行政区に話があり、それが実施されたのは昨年10~11月だ。ただし、菅野義人さんによると、「これでは、とても帰還などできない。再除染をしてもらいたい」という行政区の度重なる要望に応えたものではなく、事務所側は「(同じく放射線量が下がらないとの声が上がった)他の地区からつつかれるので、おおっぴらにしないで。事前にマスコミに出さないで」と要請し、「確認し合ったことを文書にしてほしい」という行政区の求めにも応じず、実施日も明らかにしないという異例の措置だった。
 実施の個所については行政区から、除染後の検証測定で玄関側と居久根側の放射線量の差が大きい家々の中から3戸を選んで要望した。それらの測定値は、A宅:玄関側0.72マイクロシーベルト、居久根側2.7~3.1マイクロシーベルト、B宅:玄関側0.61マイクロシーベルト、居久根側3.1~4.7マイクロシーベルト、C宅:玄関側1.12マイクロシーベルト、居久根側5.9~7.4マイクロシーベルト。いずれも極端な差があり、政府による「年間20ミリシーベルト以下」という避難指示解除要件の毎時単純換算の数値をはっきりと超えていた。 

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