毎朝続く通勤ラッシュ。首都圏のJR東日本の主要路線(山手・東海道・横須賀・中央・宇都宮・京浜東北・常磐・総武など一七路線)では輸送ピーク時の一時間にのべ四二五編成、四四四〇車両が走り、一一七万人を運んでいる。混雑率は一八六%で、これでも国鉄が民営化された一九八七年当時の二三八%から五二ポイントも改善された。 同じ頃、東京から出発する新幹線もピークを迎える。たとえば午前八時台に東京駅を出発する新幹線は臨時列車を含めれば東北・上越・長野新幹線が最大一七本、東海道新幹線は最大一二本。最短三分から最長七分間隔で東京駅を出て行く。「新幹線の最高スピードは東海道の時速二七〇キロで、スピードだけを比較すればフランスのTGVにかなわないが、三分おきに時速三〇〇キロ近い列車を走らせる力は、世界のどこにもない。運行頻度はTGVもドイツのインターシティ・エクスプレスも毎時五本にとどまっている」と日本鉄道車両輸出組合業務部長の倉澤泰樹はいう。 実際、日本の鉄道輸送は世界に類を見ないほど正確だ。JR東海の資料によれば、東海道新幹線の一列車当たり平均遅延時間は、自然災害による遅延を含めてもわずかに一八秒だ。また国土交通省によれば、列車一〇〇万キロ走行当たりの重大事故率は〇・〇〇一%で、日本に次いで事故率の低いスペインの〇・二%と比べても桁が二つ違っている。東海道新幹線は開業から四四年で一人の死亡事故も起こしていない。

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