EU(欧州連合)・欧州委員会の所在地、いわば「欧州の首都」で22日朝起こった同時テロは、世界に大きな衝撃を与えている。空港での爆発の約1時間後、今度は市内中心部の欧州委員会本部などが置かれる官庁街の地下鉄駅構内で爆弾事件が起こった。この連続テロで、少なくとも34人が犠牲となり、200人以上の負傷者が出た。 事件から2日たったところで、犯人の実像が次第に明らかとなってきた。空港の3人が爆発物を隠したバッグをカートで運ぶ姿が監視カメラに写っていた。自爆で死亡した容疑者の2人はいずれも昨年11月のパリ同時テロに、関与していたとみられている。帽子をかぶり、眼鏡をかけた男の身元は判明しておらず、逃走中である。

「イスラム国」(IS)は事件当日犯行声明を出した。この事件は、昨年11月のパリ同時テロの実行犯の1人とみられ、逃走中だったサラ・アブデスラムが、ブリュッセル郊外のモレンベークで逮捕された4日後に起こった。この逮捕で彼らが次の爆弾テロを考えていたことが判明していたこともあって、その数日後の今回のテロは人々に大きな恐怖感を与えた。安定した先進社会の暗い深淵を、改めて認識させた出来事であった。

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