習近平が中国の最高指導者の座に就いてから、日本在住の中国人学者が、一時帰国中に中国当局に拘束される事態が相次いでいる。

 直近に拘束されていたとみられるのが趙宏偉・法政大学教授(「尾木ママ」の愛称で知られる教育評論家の尾木直樹も教授を務めるキャリアデザイン学部在籍)だ。帰国予定日の3月1日を過ぎても戻らず、3日を最後に家族との連絡が途絶えたが、24日、出身地である遼寧省発の航空機で日本に戻ったという。

 2014年に拘束されたのは河南省南陽市出身の王柯・神戸大学教授である。福建省泉州市で3月7日から24日まで警察当局に身柄を拘束され、解放後に上海経由で関西空港に帰国した。

 最も注目を集めたのが、高い知名度を誇る朱建栄・東洋学園大学教授だった。2013年7月に出身地の上海を訪れたまま消息を絶ち、9月、洪磊外交部報道官が当局による拘束を事実上認め、翌年1月に解放された。拘束期間は約半年に達した。

 

中国共産党の鬼門「東トルキスタン問題」

 これら3つの事案のうち、王柯氏の場合は、中国共産党が最も恐れる民族問題を専門としていることが原因だろうと容易に推測される。王柯氏が拘束された泉州は、その昔、マルコ=ポーロが「東方見聞録」でザイトンとして紹介した、ムスリム商人が行き交う当時世界有数の貿易港で、出張も回族の調査が目的だったという。

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