豊富な鉱物資源の有効活用を目指すインド政府は、近く、長年の懸案だった「新鉱業政策」を導入する。巨大な埋蔵量を持つチタンの採掘を外資に全面開放するほか、ライセンス発行の迅速・簡素化や国営企業などが持つ採掘権のリース促進などを図る。早ければ、現在開催中の国会で関連法改正案が可決される見通しだ。インド鉱業省では、規制緩和をテコに二〇一二年までに二百五十億ドルの外国投資を呼び込み、五十万人の雇用創出を目指すとしている。 インドでは東部オリッサ州、南部タミルナド州などを中心に、代表的なチタン鉱石であるイルメナイトの鉱脈がある。米国地質調査所のミネラル・コモディティー・サマリーズ二〇〇七年版によると、埋蔵量は二億一千万トンと世界第三位。シェアは約一七・五%に達する。このほかにも、クロム(五千七百万トン、同三位)、ボーキサイト(十四億トン、同六位)などで世界有数の埋蔵量を持つ。 だが、インドがこれら資源を自前で開発するには資金や技術が不十分。一方、外資の本格導入には様々な規制や許認可手続きが障害となってきた。しかも、半ば休眠状態の国営企業が採掘権を握って離さないケースもあり、インドのチタン鉱石産出量は同等の埋蔵量を持つ南アフリカ共和国の約三分の一でしかない。新鉱業政策は、こうした状況の打破を目指す切り札と位置づけられている。

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