ターンブル政権の危険な中国接近について「初訪中に『1000人随行団』:豪ターンブル政権の危うい『親中』姿勢」(2016年4月21日)で警鐘を鳴らしたばかりだが、両国に関わる問題で大きな動きがあったので続報をお届けしたい。
 前稿では、2015年11月に却下されたと伝えたが、約10万平方キロメートル(韓国の国土面積に匹敵)もの牧場を所有するS・キッドマン社の中国企業への売却問題が再浮上している。同社が上海鵬欣集団への身売りを決定し、7月にも予定される総選挙後にオーストラリア政府が可否を審査する流れになっており、昨年、安全保障を理由に却下されたことから、今回は、軍事的に機微な土地を除く形の売却案なのだという。
 そして次期潜水艦選定問題が、当初フロントランナーと目されていた日本ではなくフランスで決着したというニュースだ。南シナ海で中国を牽制するために、日本への発注を促していた同盟国米国の「お導き」を振り切り、ターンブル政権は、中国と安全保障で対立関係にある日本からの購入を回避することで、中国への配慮を強く滲ませた格好だ。中国共産党関係者と姻戚関係にあるターンブル首相が自ら14、15日に訪中し、習近平と首脳会談を行ったが、その席でこの問題に関する「ご報告」を済ませていたものと思われる。

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