「輸送体制激変」で囁かれる毎日新聞の窮状

執筆者:中川一徳2008年4月号

 毎日新聞の輸送・販売部門に大混乱が生じている。印刷工場から専売店に新聞を輸送する体制が大きく変わったためだ。三月十日未明、首都圏の各印刷工場には、戦時中から新聞を専門に運んできた業者のトラックではなく、新たに毎日新聞と契約を結んだ大手宅配業者ヤマト運輸と軽貨物運送の軽貨急配(本社・大阪府門真市)傘下の下請けトラックが続々と到着、刷り上がった朝刊を満載し、専売店に向けて出発した。 専売店にはこれに先立ち八日夕方、「急件」と題したファックスが毎日新聞本社から届き、翌々日から輸送会社が変わることが突如通知された。都下の専売店のひとつは「ドライバーが変わるだけでも誤送や遅延がよくある。まして会社ごと変わるんだから、トラブルの発生は覚悟せざるを得ない」と心配した。 一方、毎日新聞の本社販売局部員は不測の事態に備えて前日の日曜夜から待機したという。昭和二十年三月十日が東京大空襲の日であったことから、平成二十年のそれが「販売局にとっての大空襲にならなければよいが」と強く危惧する声もあった。 降版(締め切り)を大幅に早めるなど異例の策を講じたが共に配る業界紙は一部配達されず、新聞の到着が一時間以上遅れた店もあり、夕刊一面でおわびを載せる始末となった。

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