「紛争」と「鉱物資源」と「性暴力」

執筆者:白戸圭一2016年5月25日

 アフリカ大陸中部に位置するコンゴ民主共和国の東部を舞台にした、1本のドキュメンタリー映画を紹介させてほしい。ベルギー人監督のティエリ・ミシェル(Thierry Michel)氏(63歳)が制作した2015年の作品で、原題はフランス語で「L'HOMME QUI REPARE LES FEMMES」という。直訳すると「女を修理する男」。筆者が知る限り、日本では一般の映画館での公開予定はなく、6月3日に立教大学の学内で上映される。筆者はコンゴ東部の情勢について上映当日に観客向けに解説するよう主催者から依頼を受け、先日鑑賞した。

20年に及ぶコンゴの紛争状態

 1時間52分の本作は、紛争が続くコンゴ東部で性暴力被害者の治療に取り組む1人のコンゴ人産婦人科医の活動を追い、遠いアフリカの紛争地に蔓延する凄惨な性暴力が、先進社会に住む我々の日常とどのように繋がっているかを考えさせる。
 
 主人公の医師はデニ・ムクウェゲ(Denis Mukwege)氏。コンゴ生まれの61歳。フランスの大学で医学を学び、コンゴ東部の南キブ州ブカブに病院を設立し、コンゴ軍兵士や武装勢力の戦闘員にレイプされた女性の治療と心のケアを続けている。これまで治療に当たった被害女性は4万人を超える。

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