“官僚の守護神”町村官房長官の存在意義

執筆者:浜健太郎2008年4月号

「官僚寄り政権」でひときわ存在感を放つが、首相からの信頼は得られず人望もなし。「周回遅れのプリンス」に明日はあるのか。「福田首相は、首相として何がしたいのか分からない」。最近、永田町関係者やマスコミからよく聞かれる言葉だ。ある自民党幹部も、記者団に福田内閣の目指すものについて「無色透明」と答えたという。内閣支持率は下降線の一途を辿り、フジテレビの世論調査では遂に二〇%台にまで落ち込んだ。 だが、唯一、福田内閣の性格としてはっきりしていることがある。小泉・安倍政権が取り組んできた「脱官僚路線」から「親官僚路線」へのシフトチェンジ、つまり「小泉政権以前」への回帰である。その結果、官僚は再び跋扈を始めた。そして、その官僚たちの「守護神」となっているのが、町村信孝官房長官(六三)である。 福田政権の「親官僚路線」のもと、町村氏の“活躍ぶり”はめざましい。 公務員制度改革を検討する有識者懇談会が取りまとめた、キャリア制度の廃止などを盛り込んだ報告書の取り扱いをめぐり、自民党内では、改革推進派と反改革派のせめぎ合いが繰り広げられている。改革派から、報告書を実現するため議員立法の提出も辞さないという意見が出されると、町村氏は「議論が始まったばかりの時に、そういう議論が出てくるのは不思議に思う」とあからさまに不快感を示し、自ら政府の閣僚会合を開き、閣内の改革派、渡辺喜美行革担当相の包囲網形成を画策した。初会合を終えた渡辺大臣は、マスクをして記者団の前に現れ、「会議の内容については官房長官に聞いてください」とだけ述べ、無言の抗議をしたのは周知の通り。すると、町村氏は「ああいうことをするから嫌われる」と毒づくのだ。

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