入所する被災高齢者らはどうなるのか……(とやの福祉会が運営する高齢者施設「あづまの郷」)

 

 東日本大震災も然り、先の熊本地震でも、その後の復興過程で直面する深刻な問題の1つに高齢者のケア、居住問題がある。被災直後は仮設住宅に身を寄せていたものの、身体的な不調から医療施設や養護施設への入所が求められるのに様々な事情で叶わない高齢者。あるいは震災前に入所していた施設が被災消失し、避難先でも施設が見つからない高齢者……。

 福島県福島市で特別養護老人ホームや介護老人施設、短期入所施設などを運営する「社会福祉法人 とやの福祉会」は、そうした高齢者を積極的に受け入れてきた。市内の複数の施設に200人以上の入所者がおり、福島県内では中堅以上の規模である。入所する高齢者に被災者が多いのは言うまでもないが、従業員にも被災者が少なくない。

 が、復興のうえでも重要な働きをしなければならないこの法人が、目下、異常事態に陥っている。前理事長時代の不可解な資金の流れが明るみになり、新旧経営陣の間で訴訟も起こされた。つい先日には2億円弱の手形決済で2度の不渡り事故を起こし、事実上の倒産状態となった。すでに従業員らも批判の声を挙げ、前理事長を特別背任で刑事告訴する事態にまで発展している。

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