「サイアム・スクウェアへの行き方を教えて下さい」。中央アジアのカザフスタン(主要都市アルマトイ)、コーカサス地方のアゼルバイジャン(首都バクー)から、いずれも飛行機を乗り継いで、はるばるバンコクにやって来た新米記者たちの第一声だ。どの記者もタイは初めてだが、バンコクに行くならサイアム・スクウェアだと、胸をワクワクさせながら飛行機に飛び乗ったという。 日本発のマンガやアニメが溢れるサブカルチャー(下位文化)の街、サイアム・スクウェアは、東南アジア、南アジア、中央アジア、そして湾岸諸国の若者たちに圧倒的な人気を博している。タイの首都バンコクは古往今来、世界有数の観光地だが、サブカル・ブームでその求心力がさらにパワーアップした。 サイアム・スクウェアは、バンコクの中心に位置する巨大ショッピング街。高架式のスカイトレインを挟んで、小売店が所狭しと並ぶ低価格ゾーンと、世界のブランド店が軒を連ねる高級ショッピングモール「サイアム・パラゴン」とに大きく分かれる。これら二つのゾーンを取り囲むように、映画館や競技場などの施設を含むスポーツ・エンターテインメント・ゾーン、さらに書店、パソコン教室、ブリティッシュ・カウンシルなどの語学学校が集まる教育ゾーンが展開している。タイの東京大学と呼ばれるチュラロンコン大学が、資金を捻出するため、一九六〇年代に用地の一部を民間にリースしたのがサイアム・スクウェアのはじまりだ。

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