香港でまた「1国2制度」に対する香港人の「信頼」を揺るがす問題が起きている。香港の書店「銅鑼灣書店」の関係者5人が失踪し、中国国内で長期拘束されていることが明らかになった問題で、釈放されて香港に戻った同店店主の林栄基さん(61)が6月14日、公の場に姿を現して記者会見に応じ、赤裸々に拘束をめぐる実態を語った。

 拘束された5人のうち、出版社オーナーの桂敏海さんを除く3人は林さんより先に香港に戻っているが、彼らは口を閉ざして実情を明らかにすることを拒んできたので、当事者の証言は初めてとなる。拘束中に中国のテレビで流された「告白」のビデオの内容は、「脚本があり、監督もいた」として、事実ではなく、強制された演技だったとも語った。

 

大声で罵られ続け……

 林さんは、香港の立法会(議会)の民主党議員である何俊仁氏に伴われて記者会見に現れた。林さんによれば、昨年10月24日に香港の羅湖の入国管理から中国・深圳に入った途端に拘束され、翌日には浙江省の寧波へ移送されて今年3月まで留置。その後、広東省に送られていたという。拘束期間中に告げられたのは、中国大陸に禁書を送っていたことが大陸の規定に反する、という容疑だった。これに対して、林さんは確かに禁書を大陸に運んだり、送ったりしたことはあったが、香港から中国に本を送るのは香港の法令には反していないと反論している。

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