北朝鮮は5月に開催した第7回党大会に続き、6月29日に最高人民会議第13期第4回会議を開催した。第4回会議では、憲法を改正、国防委員会を国務委員会に改編し、金正恩(キム・ジョンウン)氏を「共和国の最高首位である国務委員長」に推戴した。
金正恩氏は第7回党大会で朝鮮労働党委員長に推戴されており、これで党と国家の新たなトップの座に就任した。金正恩政権は2011年12月にスタートして約4年半を掛け、李英鎬(リ・ヨンホ)軍総参謀長や張成沢(チャン・ソンテク)党行政部長などの粛清を断行した。そして、党大会と最高人民会議での組織改編、体制整備を経て、金正恩氏の「唯一的領導体系」という名の個人独裁体制がほぼ完成した。金正恩政権にとって今回の最高人民会議がどのような意味を持つのか検証してみたい。
 平壌の万寿台議事堂では6月29日に最高人民会議が開催された。北朝鮮の国内メディアは同日朝からこれに関する報道がまったくなかったが、朝鮮中央テレビが午後9時45分(日本時間午後10時15分)から、約25分にわたり最高人民会議の内容を報じた。翌日の党機関紙「労働新聞」は1面に人民服姿の金正恩氏の顔写真を大きく掲載し「敬愛する金正恩同志を朝鮮民主主義人民共和国国務委員会委員長に高く推戴」と報じた。「労働新聞」は、通常は6面で発行されるが、この日は8面で発行された。
 最高人民会議では崔泰福(チェ・テボク)最高人民会議議長が開会の辞を述べ、(1)憲法の改正(2)金正恩同志を共和国の最高首位に推戴すること(3)国務委員会の構成(4)国家経済発展5カ年戦略の遂行(5)共和国祖国平和統一委員会を設置すること(6)組織(人事)問題――の6議題が決定した。

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