8月13日、日用品を求めるベネズエラ人があふれるコロンビアとの国境付近 (C)EPA=時事

 ブラジルの大統領弾劾裁判などの報道の陰に隠れ、国際報道からも見放されてきた感のある「ベネズエラ危機」が、いよいよ深刻度を増してきた。先のG7伊勢志摩サミットでも、「解決は緊急を要する」と首脳宣言で取り上げられ8月19日付のフィナンシャルタイムズ紙も社説でこの問題を論じている
 中南米の域内からも解決の糸口が見つからず、国際問題化することに対する警鐘が各方面から打ち鳴らされている。

インフレ率700%

 実際、急速な経済の下落と3桁のインフレが亢進する中で、国民生活は窮乏の一途をたどり(4人に3人が貧困状態)、治安も世界最悪の水準に悪化、深刻な物不足は保健衛生分野にも及び、人道的にも国際支援が緊急に必要な段階に危機のステージが上がっている。15万人を超す人々が国境を越えて必要物資を求めてコロンビア領内に入り商店に殺到する異常事態を招いているのだ。だが、マドゥロ政権が、チャベス前大統領の敷いた体制の維持に腐心するあまり、内政への干渉を避けるため「人道的危機はない」と国際支援を拒み続ける中で、国際社会も対応に手詰まり感が強い。

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