「政権」任せるのはまだ無理

執筆者:2008年5月号

 早い時期に一度民主党が政権の座に就くことが日本の政治を緊張させる、と考えてきたが、その考えは棄てることにした。日銀人事問題をめぐる民主党の対応を見て、こんな危ない政党にはまだまだ政権は任せられないとつくづく思う。危ない、という意味は政府の提案に反対したから、という意味ではない。国益より党内の事情で動きすぎるこの党の未熟さのことを言っているのだ。 日銀総裁問題の本質は、福田・小沢の対決ではなかった。民主党内部の小沢・反小沢の対立にあった。ことしの初めだったが、民主党のある大幹部は内輪の席で問われてこう語った。「小沢代表が執行部の会議で、日銀人事に関し、官僚出身だからという理由だけで拒否したりはしない、そういうことでいいですな、と一人一人確認した。これは武藤(敏郎元財務次官)で行くということでしょう。小沢さんと親しい斎藤次郎(元大蔵次官)が動いたということかな」。 この大幹部はこう言った。「この問題で政局にしようなんてわれわれは考えていませんよ」。ところが政局そのものになった。武藤で行こうとした小沢が、やがて大蔵・財務次官出身者はだめ→天下りはだめ、とどんどん強硬論に変わって行く。民主党内部で何が起こっていたのか。小沢は何に怯えて変節したのか。小沢は「反小沢」の急先鋒である仙谷由人に怯えたのである。

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