9月下旬、インド空軍による中型多目的戦闘機(MMRCA)の調達計画は、仏ダッソー・アビアシオン社の「ラファール」36機を購入することで最終決着した。2000年秋の計画段階からほぼ16年がかりで、いったんは入札で最優秀となり優先交渉権を得たラファールだったが、現地生産やコストを巡ってインド空軍とダッソー社が3年近くにわたってもめた末のことだった。ラファールは最新鋭の長距離ミサイルなどを装備する予定で、インドの空軍力強化につながるのは確実。再び関係が緊張している隣国パキスタンはもちろん、中国も強い関心を示しそうだ。
 注目すべきは、売り手のダッソー側が「値引き」に加え、支払いの50%を技術移転や現地生産などへの投資という形でインド側に還元する「オフセット条項」や、パイロットらへの訓練実施、さらには「稼働率保証」まで付けるという大サービスを盛り込んだことだ。サウジアラビアなど湾岸産油国の兵器「爆買い」が終息した今、世界最大の武器輸入国となったインドの存在感を改めて示した格好だ。ただ、インドの16年度国防予算の約4分の1にも達する78.7億ユーロ(約8800億円)という巨額の調達計画が果たして割に合うのか。いささか予測がつかない。

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