「トランプ外交」(と書いてみるとなんとなく滑稽な感じがするが、これが世界の「新しい現実」である)はどうなるのか。過去の米国の政権にも増して、閣僚・重要ポストの人事が注目される。なぜならば、トランプ氏の大統領選挙戦の最中の発言からは、大統領就任後に採用される政策が、いかようにも解釈できるからだ。

 一方で、同盟国が金銭的負担をしていない、という一連の発言からは、長年の同盟国も実利の観点から無慈悲に切り捨てて、ロシアや中国と取り引きして、孤立主義に引きこもりかねないとも予想される。

 他方で、イスラエル・ロビーの代表格であるAIPACの大会での演説などを文字どおり受け止めれば、イスラエルを全面的に擁護し、イランと対決する対外介入主義の強硬姿勢も取りかねないようにも見える。先日紹介したボルトン元国連大使などは、もし要職に就けばトランプ政権を単独行動的でかつ介入主義的な強硬路線に引っ張りかねないと危惧する向きもある。

 国務長官や、安全保障担当の大統領補佐官、あるいは国防長官の人選次第で、次期政権は介入主義にも孤立主義にもなりうる、ということであれば、米国の今後の中東政策を見通すためには、まずは外交・安全保障関連の閣僚・要職ポストの人事を見ていかなければならないのだろう。

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