トランプ政権の誕生によって、世界は各国が地域覇権を争う群雄割拠の時代に入る。そうなれば米国の権威は、さらに失墜するかもしれない。その結果トランプが選択するのは、「新たな戦争」という最悪のシナリオなのか?
 先の見えない世界情勢を、気鋭の政治学者と国際報道のエキスパートが分析する、イベントレポートの最終回!

中東の「火種」はイラン

藤原帰一氏(以下、藤原) トランプ次期政権の外交で、注目すべきは中東です。
 大きな変化が起きるのは、イランとの核合意が破棄されたときでしょう。

 この核合意の内容はイランに一方的に有利なものだとトランプはずっと訴えてきました。ですから、これが破棄される可能性は高い。それが、いったいどういう結果を招くのでしょうか。

 もともとこの核合意によって、イランが核開発を全面的にストップするとは考えられていません。
 だからこそ経済制裁を完全には止めず、イランが核開発を縮小すればするほど緩和される内容になっています。

 もし核合意が破棄されれば、イランは今後、単独の軍事行動の可能性を模索するようになるでしょう。そうなると、サウジアラビアとの緊張がさらに高まると思います。両国はすでに、シリアで代理戦争をしていますからね。

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