グテーレス次期国連事務総長(右)と抱き合う潘基文氏だが、韓国大統領への道は険しい (c)AFP=時事

 一方、政界の動きはどうだろうか。与党・セヌリ党は分裂が確定的となった。
 セヌリ党非主流派のリーダー格である金武星(キム・ムソン)元代表、劉承旼(ユ・スンミン)元院内代表を含む国会議員31人は12月21日、議員会館で会合を持ち、27日に集団で離党することを決めた。同グループはこの会合に参加しなかった議員の中にも離党に合流を表明している議員がおり、27日には35人が離党するとしている。そうなれば、セヌリ党は第1党から転落、朴槿恵大統領を支持する与党勢力は3分の1以下になる。早まるとみられる大統領選挙をにらみ、韓国政界の再編が急速に進みそうだ。

韓国国会は「4党体制」へ

 韓国国会は与党・セヌリ党が128議席、「共に民主党」が121議席、「国民の党」が38議席、正義党が6議席、無所属が7議席だ。セヌリ党から20人以上が離党することは確実で、韓国国会は院内交渉団体(20議席以上)が4つ存在する「4党体制」になる。
 12月9日の朴槿恵大統領の弾劾訴追案の採決では、与党・セヌリ党議員128人のうちほぼ半数が朴槿恵(パク・クネ)大統領を見限り、賛成票を投じた。韓国の国会は今年4月に改選されたばかりで任期は3年以上残っている。しかし、「朴槿恵大統領の即時辞任」を要求する圧倒的な世論の中で、朴槿恵大統領をこれ以上擁護すれば、自分自身の政治生命が危うくなると多くの議員が判断したものとみられる。
 与党内で弾劾訴追賛成を推進した非主流派の「非常時局会議」は、当選1、2回議員でつくる「崔順実(チェ・スンシル)事態真相究明と国政正常化のためのセヌリ党国家議員の集い」所属の21議員と金武星元代表や劉承旼元院内代表など重鎮議員が結合してつくった勢力だ。開かれた集団を標榜し、正確な人数は不明だが約40人程度とみられている。これに加え、主流派に属してきた20人以上の議員が弾劾訴追に賛成した。賛成は62人で、弾劾訴追に反対した主流派(親朴勢力)56人を上回っており、この時点では、主流、反主流の勢力関係は逆転したといえた。
 弾劾訴追案の圧倒的な可決は朴大統領支持のセヌリ党主流派には大きな打撃だった。通常なら執行部辞任だが、李貞鉉(イ・ジョンヒョン)代表は粘り腰を見せた。李貞鉉代表は「全面的に私の責任であり、私が当然責任を負う」とした。しかし「党の空白を埋めることのできる装置ができれば辞める」と述べ、非常対策委員会のような臨時執行部ができるまでは代表に留まる意思を示した。
 非主流派の「非常時局委員会」は12月12日、親朴派の徐清源(ソ・チョンウォン)、崔炅煥(チェ・ギョンファン)、洪文鐘(ホン・ムンジョン)、尹相現(ユン・サンヒョン)、李貞鉉、趙源震(チョ・ウォンジン)、金鎮台(キム・ジンテ)、李荘雨(イ・ジャンウ)の8議員の名前を挙げて「『崔順実の男たち』は離党せよ」と迫った。
 一方、主流派の李荘雨(イ・チャンウ)最高委員は非主流派のリーダー格である金武星元代表と劉承旼元院内代表に対し「党害行為、裏切りの主人公」と非難し、離党を迫った。
 この日、鄭鎮碩(チョン・ジンソク)院内代表は朴槿恵大統領弾劾訴追案可決の責任を取って辞任を表明した。

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