投票日翌日、沈痛な面持ちで敗北宣言をしたクリントン氏。制度が変わっていれば……(C)AFP=時事

 

 11月8日に行われた米国大統領選挙で共和党大統領候補のドナルド・トランプ氏が民主党大統領候補であったヒラリー・クリントン前国務長官に勝利し、約3週間後の2017年1月20日に第45代大統領に正式に就任することになる。選挙では、トランプ氏が当選に必要な大統領選挙人538人の過半数である270人を大幅に上回る306人を獲得した。これは2000年の初当選と2004年の再選で共和党大統領候補であったジョージ・W.ブッシュ氏が獲得した271人、286名をそれぞれ上回り、共和党大統領候補としては1992年以降の過去7回中、最多の大統領選挙人を獲得したことになる。他方、クリントン氏の大統領選挙人獲得数は232人だった。

 こうした米国大統領選挙の結果から、米国では直接選挙が行われているような印象を一瞬受けてしまうが、実際には、有権者が投票したのは次期正副大統領を選ぶ大統領選挙人を選出するためであり、米国大統領選挙は「大統領選挙人団制度(electoral college system)」に基づく間接選挙なのである。

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