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 プレネル編集長は、「新聞にはアジャンダをつくるという役割がある」と言う。「アジャンダ」は英語の「アジェンダ」(議題)と同じ語源で、「日程表」といった意味もある。すでに世の中に起きたことを伝えるのではなく、ニュースの力によって、新聞が先行して世の中の課題、日程表をつくり出していく、という意味だ。

「もし情報が的確で粘り強いものであれば、世の中を動かすことができます。未公開の公益的な利益のある情報を持ったジャーナリストは、コメントするだけの評論家よりもずっと効果的な改革者です。私は情報のデモクラシー的有益性を信じています」

 プレネル氏は、スキャンダルのスクープが読者拡大の大きな契機になったことを認める。「奥深い記事」だけでは、社会は動かないと考えている。

「アメリカの社会学者で元ジャーナリストだったロバート・パークが言う『ビッグニュース』です。つまり、誰もが予期しなかった驚きが人を動かす。たとえばカユザック事件。ひと言で言えば、税の責任者自身が脱税していた。それによって脱税のことに皆が関心を持つようになりました。その前に私たちは、『税逃避のマフィア』という記事を書きました。研究者の報告や、過去の脱税の規模そのほかを総括した長いものです。しかし、政治も社会もまったく動きませんでした。カユザック事件があって初めて当局も政治も動かざるを得なくなりました」

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