金日成主席、金正日総書記、金正恩党委員長(左から)の肖像が描かれたバッジ。祖父や父と並ぶ「偶像化」はまだ先? (c)AFP=時事

 今年の「新年の辞」で意外だったのは、今年が金日成(キム・イルソン)主席の誕生105年、金正日(キム・ジョンイル)総書記の誕生75年、金正恩(キム・ジョンウン)政権の正式発足5年の「区切りの年」であることへの言及がなかったことだ。

「白頭山偉人」の年への言及はなし

 昨年は第7回党大会が開催された年で、金正恩政権の権力基盤を確立する年であったが、2017年には明確な目標がなかった。朝鮮中央通信は昨年10月11日、インドネシアのジャカルタで同6日に「2017年白頭山偉人称賛大会国際準備委員会」が結成されたと報じ、首都平壌と北部白頭山で2017年8月に故金日成主席や故金正日総書記、金正恩党委員長ら「白頭山偉人」の業績を称賛する国際大会が開催されると報じた。同準備委員会は、年間を通じて関連行事を行い、2017年1月の金正恩党委員長の誕生日も盛大に祝うとした。
 今年は大きな政治的な行事がないために、「白頭山偉人称賛大会」を通じて、金日成主席や金正日総書記の威光を借りて、金正恩党委員長への「上からの忠誠」強要キャンペーンを張るのではないかとみられた。
 しかし、金正恩党委員長は2017年が「人民軍創建85周年」であり「7.4共同声明発表45周年」と「10.4宣言発表10周年」(盧武鉉=ノ・ムヒョン=大統領と金正日総書記の合意発表10周年)にあたる年であることには言及したが、金日成主席の誕生105周年、金正日総書記誕生75周年には言及しなかった。
 さらに今年1月8日の自身の誕生日でも特別な祝賀行事は行われなかった。

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