数々の難所を乗り切ってきた「改革の大本命」。だが、「登頂」直前に待っていたのは、死んだふりした霞が関の、したたかな抵抗だった。 四月四日に閣議決定された国家公務員制度改革基本法案に続き、四月二十五日、独立行政法人通則法改正案が閣議決定・国会提出された。内容は、(1)理事長の選任の際に公募を義務付け(2)独法からファミリー法人への再就職を規制(3)独法を評価する機能を各省から取り上げて評価機関を一元化(4)不要資産を売却した場合の全額国庫返納――などが柱。行革に詳しい政府関係者は、最初この法案を見たとき「民主党案ではないかと思った」という。それほど霞が関の“急所”に深く切り込む内容だ。 先月号で筆者は、三月末に町村信孝官房長官が渡辺喜美行革相に渡したという、骨抜き指示の「メモ」を紹介し、おそらく法案の閣議決定までに両者のバトルが再燃するだろうと予測した。しかし少なくとも表面上、この予測は外れた。「メモ」にあった「公募は積極的活用とすべき」との指示は、霞が関特有の婉曲表現で、「積極的活用」という努力目標程度にとどめ、法律上の義務付けはするなという意味。天下り先を減らす独法の理事長公募を霞が関がいかに嫌がっていたか、この「メモ」からも明らかなのだが、結果的にこの指示はいつの間にか撤回されたようだ。

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