米国からは好き放題言われ、自国では弱腰と批判される若き大統領の苦悩はいつまで続くのか(C)AFP=時事

 

 ドナルド・トランプ大統領が1月20日に第45代米国大統領に就任して10日余りが経過した。医療保険制度改革法(通称、オバマケア)の撤廃、環太平洋経済連携協定(TPP)からの永久離脱、石油パイプラインの建設推進・規制撤廃、中東・アフリカ地域からの難民・移民の一時受け入れ停止などの17もの大統領令、大統領覚書(メモランダム)に矢継ぎ早に署名しており、選挙キャンペーン中に掲げていた「米国第一主義(America First)」に基づく一連の公約の実現に向けた姿勢を鮮明にしている。

 

不法移民取締強化の大統領令署名

 こうした中、トランプ政権と急速に関係を悪化させている国がある。米国の南に隣接しているメキシコである。元々、トランプ大統領は2015年6月にトランプタワーで行った大統領選挙への出馬表明演説で、メキシコからの不法移民を「犯罪者」「麻薬密輸人」「強姦者」といった表現で批判。米国内に約1100万人いると推測されているメキシコからをはじめとする不法移民を厳しく取り締まる必要性を訴え、メキシコ政府がトランプ氏を批判するなど外交問題に発展した経緯がある。

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