経営統合に基本合意し、握手する日本生命の筒井義信社長(左)と三井生命の有末真哉社長(C)時事

 

「日本生命が三井生命を子会社化するのは良しとしても、株式の公開買い付け(TOB)での価格について、三井生命の1株当たりの価格が30%近くまで不当に低く抑えられた」――。

 2016年3月、シンガポールに本拠を置く「TIHTインベストメント」(以下「TIHT」)という投資会社が東京地裁に適正価格決定の申し立てを行った。同社は、ヘッジファンドとして著名な投資会社「アーガイル・ストリート・マネージメント」(イギリス・ロンドン)の傘下(55%出資)にして、世界的にも有名なシンガポールの政府系ファンドである「テマセクホールディングス」が45%出資している。その活動範囲はシンガポールを始め、香港、インドネシア、オーストラリア、中国、台湾など東南アジア諸国を中心に幅広く、投資総額は1000億円を超えるという。

 日本生命のTOBは、前年の2015年12月に議決権ベースで約93%の株式を獲得したことで、すでに完了していた。つまり、日本生命に異を唱えたのはひとりTIHTだけだったが、1株当たりの価格が3分の1にまで低く抑えられた理由は何だったのか。

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