メイ英首相(右)の胸中は、メルケル独首相(左)に伝わったのか (c)AFP=時事

 2月3日にマルタで開催されたEU首脳会議(欧州理事会)の議題はヨーロッパへの難民阻止とトランプ政権誕生がEUにもたらす影響だったが、BREXITのための3月からの交渉を明言し、トランプ大統領と最初に会談したメイ英首相の動きがもうひとつの焦点だった。

「われらがドナルド」の気骨とEUの警戒心

 今回の首脳会議開催は、折しもトランプ大統領がイスラム圏7カ国からの入国停止の大統領令に署名し、世界でトランプ政権のこの措置に対する反対行動が高まっている時期だった。EU諸国は原則的にトランプ政権のこうした差別的な移民排除の政策については反対の姿勢だが、現実には自らもEUへの難民取り締まりに傾いている。矛盾を抱えながらの対米外交の模索だ。

 会議では、中央地中海を通ってリビアからイタリアに向かう移民阻止のための措置を全会一致で承認した。これは東地中海を横断してギリシアに至る「西バルカン・ルート」を通る流入を阻止するために、昨年EUとトルコとの間で合意した取り決めと同内容のもので、地中海リビア岸の難民キャンプに住居施設を建設して、難民をアフリカにとどめるための政策である。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。