ロシア経済の牽引車である原油生産が四月、四カ月連続で減少。高度成長に浮かれて設備投資を怠ったことに加え、主力の西シベリア油田の枯渇傾向が生産面に影を落とし始めた結果とみられる。子飼いのメドベージェフを大統領に据え、異例の長期支配を目指すプーチン体制に綻びが生じようとしている。 ロシア産業エネルギー省の公式データによると、四月は日量九百七十二万バレルと、ソ連崩壊後最大だった昨年十月の九百九十三万バレルから大きく落ち込んだ。それでもロシア政府は今年の年間生産量を前年比一%増と強気の見通しを崩していない。だが、前年比一一%増だった二〇〇三年のピークに比べると減速傾向は明らか。 慌てたプーチン政権は、新たな油田開発を急ぐ方針で、先の福田首相との首脳会談では、東シベリアの共同探鉱で合意した。しかし、北方領土問題の進展が全くない中で日本政府がつぎ込める資金は「かなり控えめ」(業界筋)。 ロシアの石油企業の効率の悪さは世界一と言われるが、メドベージェフ新大統領が会長を務めるガスプロムの石油部門ガスプロム・ネフチの生産落ち込みが特に著しいことも、新体制の門出に水を差した形だ。

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