サイクロンの直撃を受け、死者が「十万人を超える恐れがある」(ビラロサ米代理大使)事態に陥るミャンマーで、被災の最中に刑務所で騒乱が発生、多数の死者が出ていたことが人権団体の報告で明らかになった。 五月三日にミャンマーを襲ったサイクロン「ナルギス」は、死者・行方不明者多数の他に約百万人が家を失う甚大な被害をもたらした。国際社会の援助申し出に対しミャンマー軍政は受け入れに消極的で、救援要員の入国に制限を設けるなど新たな人道問題を起こしている。 そうした中、隣国タイに拠点を置く非政府組織(NGO)の「ビルマ政治犯支援協会」は、中心都市ヤンゴン郊外にある政治犯収容施設として有名なインセイン刑務所で大きな騒ぎが発生し、治安当局の発砲で受刑者三十六人が死亡、七十人が負傷したことを明らかにした。 同協会によると、刑務所の収監施設の屋根が吹き飛んだため受刑者約千人を移動させたところ、雨に濡れ寒さを訴えた一部の受刑者が廃材を燃やして暖をとろうとした。これを不穏な動きと誤認した刑務所側が治安部隊を招集、現場に駆けつけたところで丸腰の受刑者との間で騒乱に発展。治安部隊が実弾を発砲して鎮圧に乗り出し、多数の死傷者を出す事態となった。

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