世界最速の成長と世界最安の通話料金で知られるインドの携帯電話サービス業界が、再び利益なき価格競争に突入した。台風の目は、昨年9月から4G(第4世代携帯電話)サービスに参入した大手財閥系の「リライアンス・ジオ・インフォコム」。同社は、昨年12月末までの4カ月間限定でスタートした無料通話・無料データ通信キャンペーンを2017年3月末まで延長する積極策で、1日6~7万件という驚異的なペースで新規加入者を獲得し、2月下旬には営業開始からわずか半年弱で加入者1億件を達成した。これに対抗し、最大手で約2.6億件の加入者を抱える「バルティ・エアテル」や2位「ボーダフォン」、3位の「アイデア・セルラー」など、上位各社も同様の値引きや無料通話プランを相次ぎ導入している。

 こうした中、加入者シェアでわずか5%弱と伸び悩んでいたノルウェー系の「テレノール」は、バルティにインド事業を売却して撤退することを決めた。ボーダフォンとアイデアの合併協議もいよいよ佳境に入るなど、本格的な業界再編の波が到来した。ケータイ文化やリテラシーが浸透する前に累計11億という加入件数に到達してしまったインドの業界各社は、生き残りを模索して奮闘中だ。

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