日韓関係と国連軍地位協定

執筆者:冨澤暉2017年3月4日
1953年7月、板門店で朝鮮戦争の休戦協定に調印するハリソン国連軍首席代表(米陸軍中将=左=)と南日・北朝鮮首席代表。以来この戦争は、休戦状態のままだ (c)AFP=時事

 今回は、前回記事の末尾に述べた「国連軍地位協定」について説明したい。

現存する「国連軍司令部」の概況

 1950年6月に始まった朝鮮戦争は3年間の紆余曲折を経て、1953年7月に休戦に入った。この休戦協定を調印した南側の当事者は、国連軍総司令官マーク・クラーク大将であった。

 その7月27日の協定調印にあたり、国連軍に参加した韓国を除く16カ国は共同宣言(国連軍参戦16カ国共同政策宣言)を発し、その中で「国連軍総司令官の休戦協定締結の決定を支持する」との立場を表明すると同時に「我々は国連の原則に再び挑戦して武力攻撃が再開される場合には、再び一致して直ちに抗戦するであろうことを世界平和のために確認する」と明らかにした。

 朝鮮戦争は63年前にすでに終わったと誤解している人が多いが、この戦争はまだ終戦になっていない。朝鮮戦争は未だ講和条約が結ばれず、引き続き休戦状態にある。国連軍司令部が今なお存続しているのは正にこのためであり、彼らは普段から、休戦条約がきちんと守られているかどうかを監視するとともに、休戦条約が破られた時に備えている。つまり、先の共同宣言をいつでも実行に移せるように準備しているのである。

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