五月五日に予定されていた日米防衛首脳会談の見送りは「隙間風」の吹く日米同盟の現状を象徴している。表向きの理由は「日本の国会日程を考慮して」だったが、真相は「議題設定が全くかみあわなかった」(日米関係筋)からだ。 米側は会談で(1)在日米軍再編の柱である普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のキャンプシュワブ沿岸部(名護市)への二〇一四年までの移設確約(2)陸上自衛隊CH47輸送ヘリや航空自衛隊C130輸送機を念頭に、アフガニスタン復興支援への自衛隊派遣――を求めようと調整に臨んだ。一方、日本側は米側の議題に難色を示し、石破茂防衛相の強い要望で「在日米軍再編が日本と東アジア地域の安全保障に与える影響について議論したい」と打診。米側は「何をいまさら」と強い不快感を示し、防衛首脳会談を断ってきたのだという。 インド洋での海上自衛隊による給油のイラク戦争転用疑惑で、石破氏は防衛省のみならず米国防総省にも詳細なデータを要求。日米双方の防衛当局者から「答えのない問題を解けと言っている」と呆れられ、国防総省当局者は「なぜ我々が犯人扱いされなければならないのか。日本もイラク戦争を支持したではないか」と憤りを隠さなかった。会談見送りの背景には石破氏への強い不信感があったのだ。

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