空港の現場検証は事件13日後の2月26日だった (C)EPA=時事

 マレーシアの首都クアラルンプールにある国際空港第2ターミナル(LCC専用)の自動発券機の前で、北朝鮮の金正男暗殺事件が2017年2月13日(月)に発生してから、およそ1カ月が経過しようとしている。暗殺には猛毒のVXガスが使用されたことが判明し、金正男氏は2名の女性実行犯にVXガスを顔面に塗られてから、15-30分の範囲内に死亡した。 

「強硬な姿勢」というが……

 この暗殺事件の対応を巡って、マレーシアと北朝鮮は急速に関係が悪化し、両国の駐在大使は本国へ引き揚げ、両国で非難の応酬が続き、お互いに両国民の出国を相互に禁止するなど、外交関係は悪化の一途を辿っている。日本国内で連日流れるメディア報道を見る限り、今回の暗殺事件が発生して以来、マレーシア政府は北朝鮮に対し、当初から迅速で、強硬な姿勢を打ち出してきたことになっている。
 事件に対するマレーシア政府の対応は次のようになる。クアラルンプール国際空港第2ターミナルの防犯カメラの映像を公表して、ベトナム人とインドネシア人の女性実行犯2名を逮捕。実行グループの北朝鮮工作員4名がクアラルンプール国際空港第1ターミナルから海外へ脱出したとして、4名の顔写真と氏名を公表。工作員の実行グループの現地支援者として、北朝鮮国籍のリ・ジョンチョル容疑者を潜伏先のクアラルンプール市内マンションで逮捕。さらに駐平壌のマレーシア大使を本国に呼び戻した。報道は、マレーシア政府が金正男暗殺事件の全容解明と実行犯の逮捕に全力を挙げてきたかのようになされてきた。

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