自衛隊のPKO活動については、「派遣の是非」と、「何故の撤収か」の議論が姦(かしま)しい。クラウゼヴィッツが言う「戦争は政治の継続」は、「軍事力は政争の道具」とも言い換えられる。自衛隊の海外派遣は、政治の継続であり、自衛隊員が政治の道具にされてきた観が拭えない。
 
 日本の国会では、南スーダンの都合や期待を忖度(そんたく)せず、また前線に送り込んだ自衛隊員の「懸命」を斟酌できない政争が顕わである。その俎上に在る陸自派遣部隊撤収の「予令」について、その分かり難さを考える。

「計算できる戦力」になったのに……

 まず、撤収の方針を「NSC 4大臣会合で決めた」とされるが、国会決議や閣議決定によらない「NSC決定」というプロセスは所与の手順だろうか。「部隊派遣計画の変更」は、「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律」に基づき、変更は、「内閣総理大臣は閣議にその決定を求め(第六条13項)、国会へ報告しなければならない(第七条)」とある。従って「予令」は、「動令」への段階で正規の手続きに移ると考えたい(「前へならえ」という号令の場合、「前へ」が予令、「ならえ」が動令となる)。

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