日本の「PKO」再考(下)「法体系なくして派遣なし」の議論を
2017年3月31日
先に、PKOにおいて自衛隊が「加害者」になる可能性がある、と述べた。
軍隊が引き起こす犯罪には2通りある。1つは「統制犯罪」。これは公務中における服務違反であり、どんな官僚組織にもある内規によって懲戒処分で対処するもので、日本にも自衛隊法がある。公務外での、例えば窃盗や殺人であれば通常の刑法、日本国内であれば日本の刑法で対処できる。
いつでも起こりうる「戦争犯罪」
もう1つは「軍事犯罪」。公務中における市民の殺傷など、国際人道法上の違反行為、つまり戦争犯罪である。通常の刑法でも、殺人や放火は死刑になる重犯罪だ。軍隊とは、殺傷や破壊の技術を日々専門に訓練している職能集団だから、通常以上に重い刑罰を科すのは当然だ。しかし、それが軍の命令行動の一環であるなら、それは個人の過失ではなく軍組織としての過失だから、その刑事性が勘案されるというのが、通常の刑法と軍刑法が大きく異なる点である。
何度も述べていることだが、戦争や交戦は全て、国際人道法というルールに則って行われなければならず、これに違反した場合は「戦争犯罪」として裁きを受けなければならない。
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