4月6日、米フロリダ州で会談したトランプ大統領(左)と中国の習近平国家主席 (C)AFP=時事

 

 さすがに米国は超大国だなとしみじみ思う。いかに理不尽と感じようと、トランプ大統領の言葉に世界中が一喜一憂し、引っ張り回されている。面と向かって反対する国も指導者もいない。中国も例外ではない。

強化された米中対話のメカニズム

 4月6-7日に開かれた米中首脳会談は、今後の世界の動きにどのような影響を及ぼすのであろうか。名実ともに世界第1と第2の大国の指導者同士の会談であり、世界中が注視していた。しかも、超型破りなトランプ大統領と、経済、軍事面での存在感を強めているだけではなく、世界の秩序形成に対する発言権を強めようとしている中国の習近平主席との対話である。当然、世界の関心は高まる。
 結果は、想像通りと言おうか、トランプ流の“不確実性”の高い会談となった。ちなみに中国は「首脳会談」と呼ばずに「元首面会(面晤)」と呼んでいる。国家元首同士が会ったということであり、中身よりも会ったこと自体が重要だということを示したかったのだろう。それほど中国にとっても予測の難しい首脳会談だった。
 結論を先に言えば、基本的にはすべての問題を先送りしている。しかし、首脳同士の気持ちの交流はできたようであり、これは重要だ。トランプの良い資質でもあり、豹変する可能性があることを予知しながらも、相手をしばらくはまじめに付き合っていこうという気にさせる。この点ではオバマ前大統領より遙かに優れている。しかも、いくつかの重要な合意をしており、米中の対話のメカニズムはさらに強化された。

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