かつては日米共同で「在外邦人輸送訓練」も行われていたが(2004年、築城基地) (c)時事

 

 現在、北東アジアの安全保障の破綻、「朝鮮半島有事」が危惧されている。軍事力は、「生存圏拡大」のためのターゲットに対して「我の意思を強要する」国家規模の暴力装置と言われる。それでは、軍事力で脅し、怯(ひる)ませ、要求を呑ませようとする「北朝鮮の意思」はどのような現実をもたらすのか。

「楽観論」と「悲観論」

 大別すれば、「金王朝自らの滅亡を招く攻撃行動は起きない」という「楽観」と、「戦争を仕掛け、一泡吹かせ、停戦に持ち込み有利な決着を図る」北朝鮮の手前勝手で最悪の行動を予想する「悲観」がある。楽観論に比べて「最悪」と「悲観」に基づく思考は、「被害の局限」を想定させ「抑止の手立て」の必要性が導かれる。

 北朝鮮の暴発は、「対岸の火事」では済まない深刻な事態を日本に招く。国民が関心を寄せ共有すべきは「朝鮮半島有事最悪の実相」なのだが、メディアが興味本意に「断片」を突ついて危機感を煽り、コメントする専門家も全体を見失っている。この欠陥を是正し、多数が朝鮮半島有事の全体イメージを共有して、個人や集団、政策や危機管理の責任者が、それぞれの立場で、策を講ずる動機を強くする必要がある。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。