国家のカネは俺たちのカネ。治安機関出身の一群が貪欲にうごめく。果たして新大統領に対抗策はありや――。[モスクワ発]四月二十五日、福田康夫首相が日本の首相としては小泉純一郎氏による二〇〇六年のサンクトペテルブルク・サミット出席以来となるロシア訪問を果たした。翌日、ウラジーミル・プーチン大統領との首脳会談を終えた首相が向かった先には、その後継者であるドミトリー・メドベージェフ氏が待っていた。 首相訪露の目的の一つが、七月の北海道洞爺湖サミットに参加するメドベージェフ氏との個人的な関係構築。モスクワ郊外にある「マインドルフ城」と呼ばれる大統領府迎賓館の応接間の古い暖炉を背に次期大統領と初対面した福田首相は、会談後、「和やかな雰囲気で率直に意見交換できた」と満足感を表明した。 福田首相がメドベージェフ氏を「話のできる人物」と判断したかどうかは分からない。だが、反政権勢力を弾圧し、メディアや産業への国家統制を強めたプーチン政権のなかで、市場経済化や対西側協調路線を主張しリベラル派と位置づけられた同氏の大統領就任に対して、少なくとも欧米諸国で期待感が広がっているのは確かだ。メドベージェフ氏も法律学者として大学で教鞭をとった人物らしく、大統領選挙キャンペーン中は「法の支配」を強調し、プーチン政権で広がった汚職や不法な企業乗っ取りなどへの対策に取り組む姿勢を見せた。

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