誤解に満ちた「米艦防護」の認識(上)「政治的用語」を使う報道
2017年5月18日
海上自衛隊の護衛艦「いずも」と「さざなみ」が、米海軍の艦船に対する「警護」任務を実施したと報じられたのは、5月1日から3日にかけてのことだった。
1日午前、横須賀基地を出港した「いずも」は、太平洋上で米海軍の補給艦と合流、さらに「さざなみ」も加わり、四国沖まで警護した、というものだ。
この任務に関する国内の報道は、かまびすしいものがあった。曰く、「なぜ防衛省や大臣は、命令の事実を公表しないのか」「集団的自衛権の行使につながる」「アメリカの戦争に巻き込まれる」などなど。
いずれも、根拠法や権限の本質を全く理解していない議論ばかりである。そこで本稿では、はびこる様々な誤解を解いてみようと思う。
「武器の使用」には制限がある
まず重要なのは、この「米艦防護」と報道されている任務は、「武器等防護のための武器使用」という、自衛隊本来の「平時」の権限としてそもそも存在している自衛隊法第95条に、“その2”として加えられた任務であるということだ。長くなるが、その元の第95条全文を引用する。
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