台湾「同性婚禁止は違憲」判断の「衝撃」

執筆者:野嶋剛2017年5月30日
昨年末に総統府前で開かれた「同性婚賛成」の音楽祭(C)AFP=時事

 

 台湾発のニュースが5月24日、世界を駆け巡った。いつもの政治ニュースではなく、台湾司法の最高機関である大法官会議が、同性同士の婚姻を制限してきた現行民法の規定は憲法違反である、との解釈を示したのである。『CNN』『BBC』『ロイター』など世界的な報道機関が速報し、「台湾でアジア初の同性婚合法化へ」と伝えた。

 台湾では、LGBT(性的マイノリティ)の権利向上運動が活発で、同性婚を認める民法改正案が立法院(国会)に昨年提出されていた。だが野党の国民党は消極的で、与党の民進党内ですら意見の不一致があり、法改正の動きは止まっていた。しかし、この大法官解釈によって、台湾社会における同性婚の問題はほぼ決着した、と言えるだろう。

 今後は、民法改正などの立法作業を、国会にあたる立法院が行うのか、内閣にあたる行政院が行うのかの交通整理が必要になるものの、大法官解釈のなかで指示された「2年以内の立法化」作業がいよいよスタートすることになる。

総統は知っていた?

 この大法官解釈の発表にあたって、蔡英文総統ら政権幹部はその内容をあらかじめ知っていた可能性が高い。

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