「トランプの暴走」で加速する米「超一極集中」社会
2017年6月21日
好調なアメリカ経済を牽引しているのは、AIを駆使した新興IT企業だ。だがそこで生み出されていく富は、ひたすら独占されている。つい10年前は、5%の富裕層が富の60%を独占していたが、今では0.1%の支配層が下位90%の全体と同じだけの富を所有するという社会になっているのだ。そして、「0.1%」の代表として政治を握っているのが、トランプ大統領なのである。
この現状と構造を分析したのが、『超一極集中世界アメリカの暴走』(小社刊)。著者の小林由美さんに、アメリカの現状と未来について聞いた。
トランプは「無能」
トランプ大統領を評するなら、「無能」の一言ですね。知識も経験も全くない人が大統領に就任してしまったわけで、閣僚やホワイトハウス側近の中で、一番力があるのが娘と娘婿。この3人で国家の運営なんてできるわけないです。
就任から100日ほど過ぎたころ、中国は貿易だけではなく安全保障も関係するということを理解したみたいですが、そうなると中国からの輸入を抑えるなんて言えなくなる。外交は、国務省や国防総省はもちろん、財政、金融、貿易、CIAなどの情報機関なども全部絡んだものです。ところがそれをコーディネートする人がおらず、ホワイトハウスが機能していないのは明らかですよね。
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